5分でわかるタクシードライバーの労働環境の実態

タクシードライバーって、深夜勤務もあって、不規則になりがちな生活や、休みはどうしてるの?毎日24時間どうやって働いてるの?辛くない?シフト制?気になる給料は?

タクシードライバーはお客様の安全も守る仕事。

業界を目指す人は気になるギモンを解説!

お客様以上に、ドライバーへの労働環境、安全に対する体制が整っていることが業界の特徴です。1か月あたりの出勤日数は10日~13日と、規制以上の働きをさせない企業が増えています。

プライベートの予定も立てやすい雇用形態になっているので次の話題について深堀りしていきましょう。

タクシードライバーは週休4日

タクシードライバーの出勤は朝の8時から、勤務終了時間が深夜2時まで。
平均すると1日当たり18時間の勤務です。

基本的な労働形態は『隔日勤務』といわれる働き方で、基本的にタクシー1台を2人のドライバーが交代で乗車するシフト体制になっています。

さらに勤務後は、21時間の休息時間を設けなければならず、1か月で勤務できる時間は最大で合計262時間と決められています。

ほとんどの企業で、出勤日が多くても1か月あたり約10日ほどの出勤となります。

求人票には、

出勤日数:12出番/月

と、1か月あたりに出勤規定日数があらかじめ提示されている場合が多く、出勤日数の相談にも対応してくれる会社も多くあります。

労働条件については、朝8時から翌朝2時までの『隔日勤務』のほか、早朝6時から昼頃まで勤務する『昼日勤』、夕方16時から早朝まで勤務の『夜日勤』の3つから選択できるようになっています。

勤務時間の一例はこちら

点呼・納金・清掃業務:0.5時間

休憩:3時間

ハンドル時間※:14.5時間

残業:0~2時間

※ハンドル時間:乗客を乗せて移動している時間+客待ち時間

1日の拘束時間は18時間と長いものの、タクシーで最も重要なのは『安全運転・無事故』であること。

無理を強いるような働き方は企業側の責任になるため、充分な休養時間をとり、体調管理には充分配慮がされています。

給料は成果の60%が反映される歩合給

タクシードライバーは1日の売上のうち、50%~60%が成果を上げた分として基本給に上乗せ(またはその一部が賞与時に支給)されます。

基本給19万~25万円をベースとし、毎日の営業収入分の約50%~60%が給与に積み重なっていくのです。

仕事をすればするほど自分に返ってくる制度はモチベーションアップにつながりますし、これまでのキャリア関係なく、すべての人が対等に働ける職場環境で、完全な個人業績であれば充実感も得られます。

企業によくあるチームワーク的な働き方ではないので、一緒に働く相手の都合を考えてメールを打ったり、相手の時間に合わせてミーティングに集合しなければならないなどもなし。

個人戦が好きな人にとってはとてもメリットのある働き方ですよね。

地方のタクシードライバー需要は低い?

前のトピックスで触れたとおり、インセンティブは個人に対して営業した分だけを払われるもので、それとは逆に、乗せるお客様が少ない地域での営業は、訪れる人が多い場所でない限り多くの給料を期待できません

東京都で営業するタクシードライバーの平均年収は全国の中で最も高いものになっています。

東京都ドライバーの平均年収:4,428,200円

一方で、 地方に行けばビジネスマンの利用は少なくなり、都心よりも移動手段を自家用車としている人は多いため、タクシーを利用する場合には日常生活のなかで車を運転できない人に限定されてしまうのです。

大分県ドライバーの平均年収: 2,171,800円

全国で最も低くなっているのが、大分県の金額です。これは東京都の半分未満になっています。やはりタクシーでの移動手段を求めている人口が少なく、おおよその人が自分たちで移動できるような生活環境になっているようです。

給料が低いと求人がない!?

地方に行くほど平均年収は下がっていますが、給料が低い=需要がない、求人がないというわけではないようです。

限定されたお客様とはいっても、その人にとって、大切な移動手段であるため、地域では重要な仕事になっているのです。

地域の人と寄り添って1人1人のお客様と向き合いながら質の高いサービスを提供していく選択肢もあります。

個人のペースを尊重した働き方が期待できますし、求人率というのはどの地域でもほとんど変わりません。

どこの地域の営業にするかでお客様がいの利用目的が変わっていったり、タクシードライバーとして求められる役割も違うので、自分は地域密着型のサービスをしたいのか、高い給料がもらいたいのか、目的によって企業選びができます。

東京のタクシー需要は高く、稼げる。

都道府県別の年収ランキング(下記表)を見てわかるように、1位の東京の年収は440万円。

2位の千葉から約55万円ほど開きがあり、全国平均年収額では100万円以上の差をつけています。

都道府県別 平均年齢・平均年収・平均勤務年数 (推定年収順)

推定年収平均年齢平均勤続年数
東京4,428,200円55.20歳7.5年
千葉3,877,400円59.90歳9.8年
大阪3,681,300円57.80歳8.1年
神奈川3,598,200円58.60歳10.1年
埼玉3,586,900円56.40歳8.6年
福井3,576,900円60.70歳15.1年
奈良3,488,700円56.10歳12.1年
兵庫3,463,800円56.90歳9.4年
京都3,415,300円59.30歳10.6年
静岡3,367,100円58.40歳6.9年
石川3,306,300円59.80歳9.1年
広島3,143,800円61.50歳11.3年
愛知3,143,600円58.10歳6.3年
福岡3,085,500円60.30歳9.0年
熊本3,051,200円59.20歳8.9年
岐阜3,047,600円61.40歳12.0年
群馬2,973,100円60.00歳8.8年
香川2,947,100円60.80歳7.7年
栃木2,928,000円65.60歳13.2年
長野2,922,900円60.00歳12.7年
青森2,902,800円58.20歳8.6年
三重2,902,100円60.60歳5.8年
岡山2,879,700円60.90歳9.5年
島根2,863,800円58.80歳10.1年
富山2,796,300円61.30歳11.1年
滋賀2,782,700円60.30歳7.2年
山梨2,742,400円61.60歳10.9年
新潟2,669,200円60.60歳12.6年
徳島2,666,100円62.50歳11.2年
北海道2,656,300円60.30歳12.3年
宮崎2,633,000円62.10歳11.6年
宮城2,623,600円60.30歳11.8年
佐賀2,616,400円63.70歳15.8年
福島2,545,700円59.60歳11.6年
高知2,528,400円63.80歳8.1年
山形2,517,400円55.20歳12.5年
和歌山2,411,900円60.90歳8.5年
愛媛2,409,100円59.10歳10.4年
長崎2,385,500円57.50歳6.6年
茨城2,326,800円62.70歳5.6年
秋田2,291,100円62.50歳17.5年
沖縄2,264,300円63.60歳8.3年
岩手2,261,200円60.90歳6.8年
山口2,235,700円64.20歳8.6年
鳥取2,211,300円58.20歳8.2年
鹿児島2,206,900円63.30歳11.5年
大分2,171,800円58.00歳9.9年

引用:「タクシ-運転者(男)の賃金・労働時間(平成28年)」より

この表を見ると、東京都の年収が多いということが伺えます。

なぜここまで東京のタクシードライバーの年収が高いかというと、日常生活でタクシーを必要とする人が多いためです。

東京での生活は、必要な施設は徒歩での行動領域内にあること、公共交通機関が整っているため、車保持の必要性が低く、車を持っていなくても普段の生活に大きな支障は出ないのです。

車を持たないもうひとつの理由というのが、駐車場の料金の高さが大きなハードルとなり、自動車保有率の低下を促進させています。

現在、東京1世帯当たりの車保有率は43.9%(※1)で全国で最も低い割合になっており、東京に住んでいる家族のうち半数以上は車を持たないということになります。

そして、この車を持たない生活のなかで、普段利用しているバスや電車などの公共交通機関のトラブルによる遅延や、終電後の交通手段がない場合には、タクシーが交通手段として利用されるのです。

また、ビジネスのシーンにおいても東京の企業のほとんどは車を保有しておらず、移動のほとんどを電車かバス、タクシーを利用しています。

また、都内の営業マンも同様、社用車などを利用している会社は少なく、例えば、本社が集まる東京でのお取引先との商談による移動は、1kmほどの距離だとしても乗り換えが発生したり、地下鉄での上り下りがあるため、電車だと余計に時間がかかってしまうことが多くあります。

それに比べて、タクシーのほうが短時間・乗り換え不要なため、常に忙しく働いているビジネスマンにとっては利用頻度が自然と多くなるのです。

※1 一般財団法人 自動車検査登録情報協会 より

タクシードライバーをするなら東京が妥当?

全国に33.2万人いるタクシードライバー平均年収は332万円、東京での年収というと442万円です。

多くの収入を求める場合には、ビジネス街や、その通勤圏内にある地域、観光者が多く訪れる観光地での年収が高くなる傾向にあり、やはり圧倒的に客数が見込める東京都での勤務がより給料に反映されやすいといえます。

また、東京以外にも関東エリアであれば千葉・神奈川・埼玉、関西エリアで大阪・奈良・兵庫・京都などでタクシー利用の需要が高くなることと比例して、平均年収も上がります。

中には寮・社宅完備の住込みで働けるよう整えられている会社もあるため、入寮を条件とした転職活動をする人も多く見られます。

ドライバーの年齢制限は75歳

タクシードライバーの平均年齢で最も高い栃木県は65.6歳

多くの職業・職種での平均年齢は42歳~43歳といわれているなか、この業界の全国平均年齢も高く、約59歳なのです。タクシードライバーの再雇用も75歳まで設定している企業もあり、年齢に寛容な業界なのです。

法律でのタクシードライバーであるための年齢制限も定めておらず、タクシー会社によってタクシードライバーの年齢制限を設けています。

多くの会社では選択定年制といわれる制度によって、最長75歳まで、自身の体調などを考慮しながら自分の判断で仕事を続けていくことができます。

1年ごとにある雇用更新のタイミングで本人の意思確認はもちろん、体力、視力、認知力に問題がないかのテストが行われ、タクシードライバーとして問題なく安全に業務が遂行できるかの検査が行われます。

※会社によっては定年を65歳に定めている場合があります。

通常の会社で定年といわれる年齢は65歳。

再就職は今までのキャリアによって年収や役職に左右されることが多くありますが、この職業は未経験者採用の割合も多く、前職が何であろうと全員が同じスタートラインに立ち、成果を上げた分だけ自分の給料に反映される仕組みになっているのです。

規則的な働き方も可能

体調や家庭環境によって20時間の勤務が難しい場合には、日勤勤務という選択肢もあり、13時間~最長16時間まで、朝の8時~21時の勤務方法をとることも可能です。

この場合には、朝出勤して夜帰宅するという一定の生活リズムを保つことができるため、勤務に慣れやすく、プライベートな予定も立てやすくなります。

タクシードライバーは24時間営業だからこそ、働く側は色々な時間帯の需要があり、会社で決められた勤務時間だけでなく、シフト選択できるのは、体調を崩したとしても働き続けていきたい人にとっては安心ですよね。

まとめ

  • 年収が最も高いのは東京都
  • 給料はインセンティブ制
  • 1か月の勤務は約10~13日
  • 平均年齢59歳

タクシー業界は年齢関係なく、意欲があれば収入を獲得できる職種です。都心部は特に、その機会が多く、そのために単身赴任をして働く人も少なくありません。

一方で、安全を第一にしなければならない職業ですので、きちんとした所定の休暇が取る必要があり、企業もきちんと遵守しているため、プライベートな時間もきちんと確保することができます。

サービス業という職種柄、極端な効率化は難しいながら、限られた時間の中で一人一人のお客様と向き合い、サービスの質を高めていけることがやりがいにつながっていくことでしょう。

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